【2026-①】休息時間から逆算 勤務間インターバルで労働時間を削減する
昨年(2025年)も多くの法改正により様相を変えつつある労働・社会保険の分野。
本年(2026年)も、労働基準法や年金の法律で新たな制度が施行されることが決まっています。
「働いて働いて働いて――」という言葉が話題になった現代です。
モーレツに長時間労働をすることを良しとする文化は、社会の中では通用しなくなっています。
けれどこの考え方は、労働の現場では業種を問わず今も根強く生き続けている、というのが私の感覚です。
そんな風潮を変えてくれる一手になるか。
現実に導入への機運が高まっている「勤務間インターバル」という働き方が、そんな現場の根強い慣習を正してくれるかもしれません。
今回は、一見すると正体をつかめない「勤務間インターバル」について、私なりの考えを書き連ねてみたいと思います。
字面から、なんとなく意味はわかるけれど、結局なに?
規則化したいけれど、どんな条文を書けばいいのか。
導入を考えている会社、上手な運用を目指している労働組合の方がたに生かしてくれれば幸いです。
目次
1 「休息」を先に決める
2 仕事の時間は限られている
3 まとめ
1 「休息」を先に決める
勤務間インターバルとは、「終業から次の始業までの休息時間」のことをいいます。
夜遅くまで残業で仕事が長引いた日は、当然、次の日の仕事が始まるまでの時間が短くなります。
休息も睡眠も短い時間で終わらせて、次の日の仕事に向かわなければなりません。
その日も遅い時間まで残業が続けば、またしても満足な休息は取れないでしょう。
身も心も休まる時はなく、健康を損ねることはもちろん、仕事の効率が下がることは誰の目にも明らかです。
勤務間インターバルは、半ば強制的に休息の時間を確保して、こうした悪影響を出さないための制度です。
休息時間を増やして、労働時間を短くする。
働きやすい環境づくりを後押しする機能があるとも言えるでしょう。
今のところ、必要な休息時間の定義は明確に定まってはいません。
「必要な休息時間は、業種や個人により異なるので、基準を設けるのは適切ではない」という意見もありますが、基準がある方が運用しやすくなるという一面もあります。
EU加盟国の運用に倣い、「連続11時間」という基準が今のところ有力です。
例えば、
22時まで仕事をして、
翌日9時から仕事を始める場合、
睡眠時間を6時間とすると、
通勤時間や休息、食事などを含めると11時間程度の空白の計算になります。
仕事以外の「生活・健康に欠かせない行動のための時間」を先に考えると、必要になるインターバルは自然と決まってくるでしょう。
「連続11時間」という数値も、適切な睡眠時間を考えれば自動的に導き出されるといえます。
あなたの「仕事のための休息時間」はどのくらい必要でしょうか。
一度、逆算して考えてみてください。
2 仕事の時間は限られている
こうした「休息の時間を確保する」という当たり前の考えを制度化する機運が高まっているのは、「何も制限がなければ働きすぎてしまう」という危機感の表れではないでしょうか。
夢中になって取り組んでいたり、必要に迫られていると、私たちはどうしてもそれを途中でやめることができず、延々ずっと続けてしまいます。
好きなことや、こだわりが強ければなおさらです。
時にそういった集中力も必要になるかもしれませんが、「労働」に関してはそうはいきません。
仕事と仕事以外の時間を明確に分け、「仕事は仕事の時間に進める」という意識を持つ方が、結果として仕事の質は高まります。
仕事と生活を分けずに融合させる「インテグレーション」の考え方も、ここはグッとこらえましょう。
私たちはまだ、フレックスタイムやワーケーションという働き方に馴染んでいません。
「いつでもどこでも働ける」という状況で上手に労働できる環境や意識が、この国ではまだ作られていないのです。
仕事の時間を限定すること。
仕事ができる時間が限られていれば、その時間で結果を出そうと努力するのは自然な心理です。
その考えが芽生えると、誰でも自分から仕事の段取りを考えます。
「どのように進めれば早く終わるか」
そう考えるうちに、効率の良い順序や作業の要不要、業務の重要度や質の高め方にまで考えが及び、一人ひとりの仕事の出力が上がっていきます。
最小の時間で最大の結果を出す。
時間が限られていることで、人は真価を発揮できるのです。
旅行先でラップトップを開いてキーを叩くより、きっといい仕事ができるはずです。
早く仕事が終われば、旅行先に仕事を持ち込むこともなくなりますしね。
勤務間インターバルは、「休息の時間を確保する」と同時に、「仕事の時間を限定する」という効果を持ちます。
業務効率化のきっかけとしても、きっと大きな効果を持つと思いますよ。
業種によって導入が難しいことはあるでしょう。
適用除外や特例などを事前に整備して、この制度が持つ真の効力を活用できるように、あなたの会社での適性をよく分析してください。
この制度を単なる「休息時間確保のインターバル」に終わらせてしまったら、とてももったいないことです。
使い方次第では、他のどんな働き方改革よりも低コストで効果を生み出してくれます。
3 まとめ
最小の時間で最大の結果を出す。
この考え方は、労働の基本です。
「短い期間で仕事を終わらせろ!」という意味ではありません。
「限られた時間で仕事を終わらせる」という意識を持つことを説いているのです。
仕事の時間が限られるのはなぜか。
休息の時間を確保するからです。
なぜ休息の時間を確保するのか。
健康を守り、元気に体力をつけて仕事に取り組むためです。
働く人たちが健康で、元気に仕事に取り組んでいれば。
一人ひとりが自分の仕事に向き合い、自分からもっといい仕事をするために考えて行動に移すようになります。
そして、みんなが自分の仕事のことを、好きになります。
勤務間インターバルを導入して仕事と休息の時間が区別されると、こんな好循環が始まります。
この制度はそのきっかけです。
制度を取り入れるためには以下のことを決めることになります。
- 休息の時間はどのくらいか
- どの職種の誰が対象か
- どのような場合が適用除外になるか
以上のような実務的な検討は避けては通れません。
ですが、制度導入の際には、このような検討に終始するのではなく、もっと遠大な理想を視野に入れて考えることをおすすめします。
「休息時間を先に確保する」
ぜひ、この方法で労働時間の削減に取り組んでください。
