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【2026-③】「管理職働かせ過ぎ」の弊害 管理職を24時間営業させてはいけない!

「あの仕事は課長に任せておけ。アイツらは24時間営業だから」

 

こんな会話を社内でしたことはないでしょうか。

私の個人的な感覚では、年長の先輩方が発しそうな言葉です。

 

この場合の「24時間営業」というのは、管理監督者が法律上、労働時間の制限を受けないことから、「いつでも働ける」という事情を表しています。

 

課長(管理監督者)は、一日8時間という上限はなく、残業代の支払もない。

だから、いくら働かせてもかまわない。

面倒事は課長に任せておけばいい!

 

このような図式は、どこの会社にもありそうです。

でも当然、この図式の働き方で良いわけがありません。

 

今回は、つい陥りがちな「管理職働かせ過ぎ問題」を、安全衛生の観点も含めながら考えてみます。

 

あなたの会社では、「課長」はどのような働き方ですか?

その働かせ方で、「課長」を守れていますか?

 

記事を読んだ後に、そんな視点を持ってくれたら幸いです。

 

目次

1 働き過ぎに注意

2 三つの弊害

3 まとめ

 

 

1 働き過ぎに注意

 

一般に課長・部長・本部長などの役職が付くと、その人は「管理監督者(管理職)」という身分になり、通常の労働者の働き方から一部変化します。

 

「労働時間の規制を受けなくなる」というのが最も大きな変化で、これはみなさんも聞いたことがあるでしょうか。

詳しい法律の知識がなくても、「管理職には残業代はない」という知識は、働き始めたら自然と頭に入ってきていると思います。

 

管理監督者がどのような人か。

どのような要件を満たしていれば、その人は管理監督者となるか。

 

法律上の要件については、別の場で語ることとして、今回は省きます。

 

今回取り上げたいのは、「管理職24時間営業」に対する注意点です。

 

当たり前のことですが、管理職に昇格した人が、その日から24時間働ける身体に進化することは、ありません。

 

管理職に昇格すると、賃金は大幅に増えて、仕事での権限も強まることでしょう。

でも、それがあることで疲労への耐性が強化されるわけではないです。

 

管理職であっても、働き過ぎには要注意。

自分の労働時間の限界点は、一般職のときと同じと考えて良いでしょう。

昇進した途端に、疲れにくい体に変わったわけではありませんから。

 

労働安全衛生法(第66条の8、則第52条の2など)では、その人の労働時間や健康状態を考慮して必要と認めた場合、医師による面接指導を行うことを定めています。

その面接指導の基準は、

  • 一か月80時間を超える時間外労働(休日労働も含む)
  • 疲労の蓄積が認められる

です。

 

「一か月80時間」という基準は、いわゆる過労死ライン。働き過ぎの時間数です。

この時間数には、一般職も管理職も区別はありません。

たとえ責任ある職務だとしても、人間である以上、働き過ぎれば健康と生命を脅かすのです。

 

部下の働き過ぎを抑え、いつも職場内の健康状態に気を配っている管理監督者のあなた。

ご自身の働き方には気を配っていますか?

「管理職は24時間営業だから」という考え方に、ご自身を縛り付けていませんか?

 

管理職も同じように、働き過ぎから身を守る必要があることを、忘れないでください。

 

そして管理監督者と同じく「使用者側」である会社にも、管理職の働かせ方には責任が生じています。

 

労働安全衛生法(第66条の8の3など)では、会社は、管理職も含めた全ての従業員の労働時間を把握することと定められています。

 

管理監督者は「経営と一体の立場」として会社側の従業員ということになりますが、健康管理においてはその区別は成り立ちません。

会社で働いているからには、その人の労働時間と健康状態の把握は、事業者が行うべき責務です。

 

会社も「管理職は24時間営業だ」という意識のままでいると、いつか大変な事態が発生します。

今もその意識でいるのなら、早々にあらためましょう。

 

 

2 三つの弊害

 

管理職に24時間営業をさせると、何が起こるか。

弊害はいくつか考えられますが、ここでは発生確率が高く、結果が深刻になりやすい三例を挙げます。

 

過労死

 

最も深刻で、避けなければならない結果です。

長時間労働が健康を害し、生命を失わせることは、難解な解説を持ち出すまでもなく明らか。

 

会社は責任をもって従業員を働き過ぎから守り、ご本人は自己防衛に努めてください。

 

過労死は、業務との関係を巡って裁判などで争うことが考えられます。

近年では、会社側の安全配慮義務の違反や、労働時間把握の欠如などが問題視され、会社側の責任が問われる傾向にあります。

 

先に述べた会社全体の意識変革と法令の遵守を徹底して、この最悪の結果を避ける努力を続けましょう。

 

未払い残業代

 

労働時間の制限がなく、残業代の支払が必要ないとされる、管理職。

でも、その働き方が法律の要件を満たしていなかったら。

 

24時間営業で働かせていたその人が、法律上の管理監督者ではないとしたら。

当然、時間外労働の割増賃金、「残業代」が発生します。

 

その場合には、会社には重い負担がのしかかります。

  • 膨大な残業時間数
  • 莫大な残業代
  • 会社の信用・イメージ・威厳の低下

 

この結果を避けるには、「管理監督者とは何か」を正しく理解し、それに基づいた正確な規則の整備が欠かせません。

 

社内の規則が整備不足であるために、「元管理職の一般従業員」から未払い賃金を請求される事件も続いています。

そして、その多くでは会社側の主張は認められない傾向にあります。

 

その人が課長・部長などの役職者なら、ふだんから長時間労働の傾向でしょう。

そうなれば、残業として計算される時間数は膨大になります。

 

加えてこの場合の未払残業代は、基本給の他に「管理職としての役職給」を加算した賃金額を基準に計算されるので、支払うべき金額は莫大になります。

 

重い責任と長時間労働は少しずつ不満を高め、会社に矛先が向くかもしれません。

管理職働かせ過ぎ問題は、このような事態につながることもあるのです。

社内の環境整備が十分でなければ、こちらも早々に手を打ちましょう。

 

意欲の低下

 

過労死は、生命を失う最悪の結果。

未払賃金の請求は、金額によっては会社の大きな打撃。

 

これらとは違う次元で、私はこの「意欲の低下」が、会社の最も大きな損失だと思っています。

 

なぜなら、その人が管理監督者の役割を果たしていないからです。

 

会社がその人を課長・部長など責任を伴う役職に引き上げる。

それは会社の事業として、その人に任せたい役割があったから、のはずです。

 

そのために、それまでよりも大幅に賃金額を引き上げ、会社の権限を一部委譲し、会社が管理するべき勤怠を本人の裁量に任せる待遇に昇格させるわけです。

 

そこまでの特別待遇の従業員が、本来の役割を果たしていなかったら。

会社としては期待外れです。失望や不満を感じてもおかしくはないでしょう。

 

でも、なぜそんなことになっているか、ちょっと分析してみてください。

本人の怠惰、以外の理由があるかもしれません。

 

経営者と一体的な立場にある管理監督者は、労働時間をはじめ働くための多くの制限がなくなり、自由な働き方が可能になります。

 

そんな自由度の高さから、その人にいろんな仕事を任せていませんか?

 

職場や部門ごとに業務がある中で、その職場の本来の業務以外の雑多な仕事を、役職者である管理監督者が全て行っている。

そのようなことが、社内で普通になってはいないでしょうか。

 

  • 「部下たちが本来の業務に集中できるように」
  • 「部下たちに雑用なんて命じにくい」
  • 「自由度の高い課長が雑務を担うべき」
  • 「会社からは『課長は職場の雑用係になれ』と命じられている」

 

その状況に至った理由は様々あると思います。

自分からすすんで。部下から要望があって。会社から命じられて。

 

でも、責任ある役職に引き上げられたからには、本来果たすべき役割、務めがあるはずです。

それを果たせていない状況は、やはり健全とは言えません。

 

そしてこの状況が、その人の働く意欲を低下させます。

 

高い賃金、強い権限、自由な働き方。

これらの待遇を駆使して会社の業務に貢献する。

これが管理監督者の役割であり、期待される成果のはずです。

 

その人自身も、昇格した当初はきっと、自分の役割や職務に対して燃える想いがあったでしょう。

でもそれが、始まってみれば雑用ばかりでは、大きく失望するのは当たり前。

「オレ、なにしてんだろ」と虚ろになってもおかしくありません。

 

社内で管理監督者とされる、課長・部長・本部長などの役職者たち。

その人たちが全うするべき役割、本来の職務は、会社として定まっていますか?

本来の役割が定まっていないと、管理監督者たちはいつしか雑用係に納まってしまいます。

 

そして、そんな雑用係を長時間労働で続けていれば、燃える想いなど抱くはずがありません。

会社はその人の能力を十分に引き出すことができず、成果に比して高い賃金を支給し続けることに。

 

これは、未払賃金を請求されるよりも、もっと大きな会社の損失だと、私は思っています。

 

もし、管理監督者に任せる職務が会社として曖昧のままなら。

これもまた、明確に定める必要があります。

 

管理監督者は、経営者と一体の立場。

会社にとっては自分の分身ともいえる存在です。

その役割が決まっていないなんて、ありえませんよ。

 

 

3 まとめ

 

私自身、中間管理職のような職位にあって苦労した時期があったため、今回は熱がこもって長文になりました。

本当はもっと書き連ねたいことはあるのですがそれは別の機会として、今回はここまでとします。

 

  • 「管理職24時間営業」の働き方は、健康維持のためには禁物
  • 会社は、医師の面談や労働時間管理など、管理監督者の働かせ方に責任がある
  • 管理監督者の長時間労働には、過労死・未払残業代の請求・働く意欲の低下の危険性をはらんでいる

 

上記のまとめを読んでみると、これらは一般職でも管理職でも、同じことが言えるのがわかりますね。

 

実態により異なることはありますが、基本的には「管理職も労働者」という考え方が、私にはしっくりと落ち着きます。

 

働き方改革と昨今の経済状況により、管理監督者の役割も見直す時期に至っています。

 

取り返しのつかない結果が出る前に、今一度、その働かせ方を点検しましょう。

 

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