【2026-⑤】いきなり面接は非効率! 採用手順を工夫して「問題社員」を食い止める
前回の記事【2026-④】人手不足を解消する! 人材難でも人を獲得するための心得では、人材を獲得するときの人選びの心得を述べました。
その中で、「不一致の人材」という言葉を用いて説明した項目があります。
その記事の中では言葉を選んだのでこの表現となりましたが、これはつまり「問題行動を起こす人物」「問題社員」ということになります。
働く人のことを「問題社員」と表現することには心苦しさがあるのですが、表現を曲げると真意が伝わりにくくなると考え、この記事ではこの「問題社員」という言葉を使わせてもらいます。
この記事を読むあなたには、私が「労働者は問題を起こすもの」という見地に立っているものではないことを、あらかじめ理解してほしいと思います。
記事を読んだあなたに、この記事の内容の意味を正しく、わかりやすく伝えるため、一般的で意味をイメージしやすい言葉を使うことを、ご了承ください。
人材難により企業の募集・採用は難しさを増す中、やっとの思いで採用した人が、入社したら問題社員と化す。
採用現場ではこういったことも多く発生していることでしょう。
【2026-④】の記事では、このような現象に至る悪循環についても紹介しました。
今回は、このような問題のある人物の採用を防ぐための方法をもう少し具体的に考えてみます。
問題行動を起こす人物の入社を採用前に防げるのか。
何に気を付ければそれを防ぐことができるのか。
人手不足に悩む、特に中小の事業者さま。
この記事を参考に、さらに一段進化した人材獲得につなげていってください。
目次
1 「会う前に」その人を知る
2 「実物の」その人を知る
3 まとめ
1 「会う前に」その人を知る
企業が人を募集する場合、求人の情報発信を適切に行えば、問題行動を起こす人物を事前に遠ざけることができます。
勤労することに純粋な意思を持っていないような人物は、採用の条件が明確で詳細な職場を避ける傾向にあるからです。
採用条件が不明確でゆるいままだと、それだけで問題社員候補が応募してくる可能性が高まります。
会社として募集・採用の情報は正しく発信する。
これが第一です。
【2026-④】人手不足を解消する! 人材難でも人を獲得するための心得
では、実際に応募があり、採用の段階に至ったときにはどうするべきか。
ここからが本題であり、会社として大切な部分です。
書類から見えてくる「その人」
人の採用はまず、書類選考から始めましょう。
いきなり面接を行うのではなく、履歴書や経歴書を提出してもらい、それら応募書類の内容に目を通すのです。
応募書類にいちいち目を通している余裕はない、と思うかもしれませんが、応募者全員と面接をするのにも時間と労力はかかります。
面接は、会社にとって時間と労力を要する行為です。
これを限定し、採用を効率よく進めるためにも、書類選考によって面接の対象者を絞る過程は有用です。
また、提出された応募書類には、そこに記載されている文字情報以外にも、その人の情報が多く含まれています。
面接での対話に劣らない多くのことを、書類から得ることができるでしょう。
- 誤字・脱字
- 誤字・脱字の際の修正液の使用
- 日付やふりがなの書きもらし
- 写真の撮り方
- 文章に本人の意思を感じるか
- 文章は他人やAIの代筆ではないか
- 経歴や職歴の不自然な空白期間
これらに目を向けると、その人の性格やクセ、人間性まで見えてきます。
「書き間違えたときに、書き直すのか、修正するのか」などの性格の把握は、実際の仕事を行う上で重要な判断基準になるのではないでしょうか。
上記に列挙したチェックポイントは一例です。
自社の事業や職場に合わせた書類選考用の点検項目を作って、提出された応募書類に効率よく目を通していきましょう。
「第ゼロ印象」
SNSは、毒にも薬にもなる現代のツール。
SNSでの投稿はその人の性格や人間性をよく映し、近年では企業の採用現場で判断基準のひとつに使われているといわれます。
その人と会う前に、その人のイメージがある程度固まることから「第ゼロ印象」ともいわれています。
履歴書も第ゼロ印象になるのですが、SNSの場合は就活生の間ではやや否定的に使われているようですね。
「第ゼロ印象に注意しろ!」といった具合に、安易な投稿で身を持ち崩さないよう、戒めています。
これを採用の判断基準に用いるかどうか。
私としては、慎重であるべきと考えます。
SNSの投稿やその内容は、その人の自由な行動ですから。
仕事のない休日に何をして過ごそうとも、それは本人の自由、好きにできることです。
それを不採用の主な原因とするとしたら、それは個人の私生活に踏み込みすぎでしょう。
たとえ「採用の判断は企業の自由(三菱樹脂事件)」とされていても。
人を採用するかどうかは、その人の採用が会社の利益につながるかどうか。
その判断は応募書類と、そのあとの面接で十分に判断できるはずです。
個人のSNS投稿を安易に判断基準に用いることには、慎重であることを進言します。
2 「実物」のその人を知る
その人を知るための面接
書類選考により、応募者が基準を満たしていると判断できた場合、次はいよいよ面接です。
もちろん、単なる面通しではないので、ここで会社がするべきことをあらかじめ準備を整えておきましょう。
ここでは通常の採用面接ではなく、「将来の問題社員対策」の視点で解説します。
先述の書類選考と同じように、面接で聞き取りたいことをあらかじめ一覧表などにまとめましょう。
面接での質問内容は、「その人の何を知りたいか」を念頭に、会社として聞き取りたいことを網羅すると、効果の高い質問ができます。
単に「会社や仕事のことをどう思うか」を聞き出すよりも、その人の人間性などが見えてくるはず。
その人が将来に問題社員となるかどうか、面接の時点でなるべく見定めるために、以下のことを質問に含めてみましょう。
- 職歴の長い空白期間の理由
- 短い期間での転職の理由
- 応募書類から気になったこと
空白期間が長い、転職回数が多いなどは、それ自体は何も悪くありません。
どれだけ明確な理由をもってそれを行っていたか、を確かめるのが狙いです。
理由もなく転職をくりかえしていたら、今回もすぐに会社を離れてしまうかも。
この質問をすることで、そんな想定ができます。
面接を、相性・雰囲気・フィーリング・「オレの勘」などに頼って、雑談のようなとりとめのない会話で消費してしまったら、せっかくの対面の機会が活きません。
お互いに緊張の時間を過ごすのだから、今後に生かされる収穫を得ましょう。
「適性検査」の活用
近年の募集・採用現場では活用が進んでいる、「適性検査」。
これから採用する人にも、これはぜひ行ってもらいましょう。
適性検査は種類も方法も数が多く、どれを導入するかは悩むところですが、数が多いことは豊富な選択肢が用意されているということ。
自社に合った、希望にかなう検査方法を選択しましょう。
適性検査は「能力検査」と「性格検査」に大別されますが、「将来の問題社員対策」であれば、後者の性格検査が当てはまるでしょう。
適性検査の活用として、もうひとつ。
会社の従業員に対しても実施してみてください。
自社の従業員の傾向を分析し、会社にとって理想の人物像に近い人を抽出します。
応募者がその傾向に近ければ、その人は会社としても求める人材です。
適性検査の結果は客観性が高いので、信頼できる採用基準になるでしょう。
自社の従業員に対して適性検査を行う場合は、その目的や用途を周知して、あらかじめ理解を得ておきましょう。
従業員に「人事考課や配置転換に使われるのではないか」と疑念を持たれてしまっては、前向きな協力を得られなくなってしまいます。
実施するには準備に少し気合を要する、適性検査。
社内外の人材活用に高い効果を発揮するので、会社の地力を高めたいとお考えならば、取り入れてはいかがでしょうか。
3 まとめ
人材難の時代では、少ない人数で会社の事業を進めなければならないこともあるでしょう。
会社の従業員みんなが、事業の支え手になってくれることが会社の理想です。
そのためには、「問題社員」「トラブルメーカー」「モンスター社員」と呼ばれる人物の採用を避け、採用の精度を高めることが一手になります。
今回紹介した手法を駆使して将来の不安要素の流入を食い止め、会社を頼れる人材で固めていってください。
- 書類選考で応募者の人物像を事前にチェック。いきなり面接しない。
- 「第ゼロ印象」でもその人物像をチェック。ただし、過度な依拠は慎重に。
- 「その人の何を知りたいか」を念頭に面接に臨む。勘に頼った雑談で終わらせない。
- 適性検査を活用して性格や特徴を細かく知る。求める人物像が見えてくる。
最後に付け加え。
書類選考、面接、適性検査などの厳正な手続きを経て採用された、新しい働く仲間。
これらの手続きにより、将来の問題社員は入社前に篩(ふるい)にかけられ、入社に至った人はきっと頼りになる人物なのでしょう。
めでたく入社したこの人が会社の中で活躍するかどうかは、会社にかかっています。
採用の時点では何も問題要素がなかった人が、入社後に問題社員に変貌してしまうことがあるのです。
それは入社後に、社内の状況が想像と大幅に違っていることによる、失望や不信感が原因になったりします。
新たに加わった仲間をがっかりさせないように、社内の環境整備の手を抜かないこと。
人材の獲得と定着のために、会社として欠かせない努力であることを忘れてはいけません。
これについては、また別の機会で考えてみましょうかね。
【関連ページ】
