【2026-⑦】長時間労働には、荒療治! 多過ぎる残業を「許可制」で抑止しましょう
長時間の労働が会社への貢献ではないことは、現代ならば常識。
今は短い時間で成果を出すことが正義とされ、残業や徹夜での労働は少なくなっていると思います。
長時間労働には、会社が得をする利点がありません。
- 従業員の生命健康を害する
- 労務費などがかさみ、会社が高コスト体質になる
- 超過残業、無届け残業など法律リスクをはらむ
- 従業員から未払い賃金を請求される
人手不足で、少ない人数で多くの仕事を進めなければならないという会社の苦境はいかばかりか。
加えて、法違反のリスクや未払い賃金請求などの不安要素も抱え続けるとなれば、本業が険しくなるばかりです。
私もかつて工場労働者であり、労働組合に身を置いていたことから、この状況の苦心は理解します。
この苦境を解く第一歩として、まずはこの悩みの種、長時間労働の体質を見直しましょう。
事業の進め方を今月からいきなり転換することは至難でも、振り返って見直すことはできるはず。
- なぜ、我が社では長時間労働が必要なのか
- なぜ、我が社では長時間労働ができてしまうのか
- 現状に合わせた抑止の方法はないのか
落ち着いてひとつずつ見つめてみると、解決の糸口が見えてくるかもしれません。
原因が解消して長時間労働が不要になれば、先ほど挙げたような悩みの種も消え去って、本来の業務に専念できるようになります。
経営の足をずっしりと引っ張る長時間労働を、一緒に見直してみましょう。
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【2025-⑤】残業はキャンセルできるのか 「義務」と「必要性」を見定めよう
目次
1 事前申告の許可制
2 残業を抑止する「面倒な手間」
3 まとめ
1 事前申告の許可制
時間外労働(残業)は、長時間労働の代表です。
残業を命じる理由、拒む理由については【2025-⑤】で説明していますが、ここでは会社の現状から近い方法として、「従業員側からの残業実施の申し出」への対応をお伝えします。
今のあなたの会社でも運用できそうか、検討してみてください。
会社の事業は多くの時間を必要としている
↓
従業員側がその時間を求める
↓
長時間労働が基本となる
会社の中はこのような構図だと予想します。
この構図全体を見直すのが最終的な目標ですが、いきなり現状を無視して全てを見直すことはできません。
ならば、この構図に合わせた残業の方法として、「従業員からの申し出を会社が許可する」というしくみを作ります。
事前申告の許可制の導入です。
「仕事で残業が必要なのだから、会社が許可しないなんてありえないだろ!」
という声が聞こえてきそうです。もっともだと思うし、現実はこのとおりでしょう。
けれど、ここは荒療治。
理想を掲げて、不合理で面倒な手続きをあえて間に差し込みます。
社内は今、この荒療治が必要な状況であることを理解してください。
- なぜ今日は残業が必要なのか
- 何の業務のために必要なのか
- どのくらいの時間が必要なのか
- 誰がそれに従事するのか
少なくともこれらのことは文書にまとめて、事前に会社に申告させましょう。
そして、会社はその内容に合わせて、必要なだけ、残業を許可します。
従業員側から残業を求められるのは、会社としては“原因放置の状態”です。
歯が痛くて困っているのに、虫歯を治さず、痛み止め薬でこらえ続けているようなものです。
従業員の残業という痛み止め薬のおかげで、会社は食事ができているのです。
安易な鎮痛薬の乱用をやめて、原因と向き合わなければなりません。
2 残業を抑止する「面倒な手間」
面倒ですね。
残業そのものが面倒なのに、そのための手続きにも手間がかかるとは。
しかも、申し出れば会社が許可を出すことはわかりきっている。
何の歯止めにもならず、現場の仕事が増えただけ。
「誰の得になる?無意味だ!」
わかります、その憤り。
こういった面倒な手間は、効果を上げる前に廃れていくのが世の常です。
けれどここは荒療治。
虫歯の治療には痛みが伴うものです。
この方法に効果があると考える根拠は二つ。
- 手続きに手間がかかること
- 文章化されること
一つ目はおわかりのとおり。
忙しいときに、面倒なことなどしたくありません。
「残業をするには面倒な手間をかけなければならない」
この心理が、残業を抑止してくれます。
特に、「上司にいちいち説明しなければならない」という行為が生理的な抑止になってくれることが期待できます。
これは、上司・部下の関係が良好でも険悪でも効果があるでしょう。
この手続きの効果を生むために、上司に当たる人にはつらい役回りですが、安易に許可を出してはいけませんよ。
従業員が心理的な(生理的な)抵抗を感じるくらいに、厳しい観点で残業申請を審査してください。
二つ目の文章化の効果も、なんとなくわかると思います。
今ある現実を文字に書き出すと、自分でも落ち着いて分析ができるようになります。
定時間の業務から、切れ目なく滑り込むように残業に突入するのではなく、こうして文章化した現実を目にすることで、一度立ち止まります。
そうしているうちに、意識していなくても改善点が浮かんでくるものです。
働く人たちは、自分が受け持つ仕事に少なからず自負があります。
その自負がある人は、目の前で明文化された問題を放置することはありません。
無意識のうちに改善点が思いつき、少しずつ実践されるはずです。
そうして業務に必要な時間が短縮されて、残業も不要になってきます。
「上司の許しをもらいに行くぐらいなら、残業しない方がマシ」という考えが定着すれば、好循環の始まりです。
これら二点が機能を始めれば、会社側・従業員側の両者が残業に対して意識が向きます。
両者が考えを共有して、同じ方向に進むこと。
会社運営では大切なことですですが、残業抑止に関してもこの考えは有効です。
事前申告の許可制をきっかけとして、残業の原因を取り除く意識で取り組みましょう。
虫歯が治れば、痛み止め薬を買い続ける必要はなくなります。
3 まとめ
今回紹介した方法は、あなたの会社で実践できそうでしょうか。
こうした取り組みで大切なのは、自分たちで実践できる内容であること。
なぜなら、長時間労働の抑止には息の長い地道な取り組みを要するからです。
「残業禁止」や「ノー残業デイ」の設定など一見すると強力で即効性のある対策は、取り組む側が疲弊して長続きしません。
「隠れ残業」や「持ち帰り残業」などの副作用も誘発することから、私は導入には慎重です。
長時間労働を抑止する対策は、
- 会社の現状に合わせた内容であること。無理な取り組みは早々に廃れる。
- 残業は「事前申告の許可制」により行い、会社が許可を出す意識を定着させる。
- 上司の許可をもらうという「面倒な手間」を心理的な抑止とする。
- 問題の明文化により、自主的な取り組みを促す。
を意識して取りましょう。
そして、やがては残業を「会社が指示を出す仕事」に変えましょう。
残業は本来、従業員が自ら行う仕事ではありません。
会社が必要に応じて、必要な分を従業員に命じる仕事です。
会社と従業員の両者がこの目標に向かって進んでいけば。
長時間労働に頼らない会社を築くことができる。
私はそれを期待して荒療治的な方法を紹介しました。
あなたの会社でも、労使の意識を共有して、この根深い問題の解決を目指してくださいね。
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