【2025-②】会社のルールは「協約」が基礎
ここでは、会社での働き方がどのように決められているのか、触れたいと思います。
会社のルールや私たちの労働条件は何に基づいているのか。
「協約」とは何者か。
この記事で、みなさんの理解が深まることを願っています。
目次
1 存在感が増す「就業規則」
2 「労働協約」が優先
3 まとめ
1 存在感が増す「就業規則」
みなさんの会社に、就業規則はありますか?
会社に勤めていると、「就業規則(しゅうぎょうきそく)」という言葉を聞いたことはあると思います。
例えば、入社して間もなく行われる新入社員研修で。
または、毎年4月や10月などに行われる会社の制度改正に伴う説明で。
最近では、春の賃金引上げや、夏冬のボーナスの時期に。
一年のうちに何回か、この「就業規則」という存在を耳にすることはあるのではないでしょうか。
もっと詳しい方は、「就業規則とは、会社で働くときの基本的なルールであり、会社にとっては行動規範、従業員にとっては労働条件になる基準のこと」ということまでご存じかもしれません。
法律でも、一定規模以上の会社にはその制定が義務付けられている就業規則は、近年では存在感が増しているといえるでしょう。
会社で働く誰もが、自分の働くルールや条件を知っておきたいという意識が高まってきていますからね。
働き方改革が始まって以後、就業規則は徐々に注目されてきていると、私は感じています。
2 労働協約が優先
ではここで、これに関連してもうひとつ。
みなさんは、「労働協約(ろうどうきょうやく)」という言葉をご存じでしょうか。
労働契約、ではありません。
「協約(きょうやく)」です。
ふだん使わない言葉だし、文字からは意味も見えにくい。
大事そうだけれど、難しそう。
この「労働協約」と初対面の方は、そんな第一印象を抱くのではないでしょうか。
これは、上記の就業規則の法律の条文で登場する用語です。
- 労働基準法
第92条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
② 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
日常で法律の条文を目にする機会は少ないかもしれません。
でも、こうして読んでみると、労働協約は就業規則と直結していることがわかります。
「反してはならない」という文に、強い意志を感じませんか?
この条文により会社の就業規則は、労働協約に追従する関係にあるのがわかるでしょうか。
「反してはならない」し、牴触していると変更を命じられてしまいます。
「就業規則は労働協約に反してはならない」
↓
「労働協約は就業規則より優先される」
という構図です。
そしてこの構図により、会社でのルールや労働条件が、労働協約に基づいていることが見えてくると思います。
「就業規則は会社の基本的なルール」
↓
「就業規則は労働協約に反してはいけない」
↓
「労働協約が、会社のルールの基礎!」
「規則」と「協約」は、法律上の関係を整理するとこのような位置に納まります。
これが、労働の分野でよく言われる「労働協約は就業規則より優先される」という説明の起源です。
3 まとめ
私たちが会社で働くときには、ルールや労働条件が定められています。
それらのルールは、法律に則って会社の中で決められていきます。
・会社が定める就業規則は、会社の基本的なルール。
・就業規則は、労働協約に反してはならない。
・労働協約は、就業規則より優先される。
みなさんの会社には、「労働協約」はありますか?
もし社内で見かけることがあったら、自分の賃金や勤務時間、有給休暇などが協約によって決められているのだ、と思いを巡らせてみてください。
自分の労働条件が、なんとなく自動的に決まっているわけではないと思うと、毎日の出勤が違って感じられるようになりますよ。
出勤の時間は、会社のルールで決められているわけですから。
関連ページ「就業規則の整備」https://sharrow-nakanoya.com/service/page-173/
