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【2025-⑥-2】一律支払方式

「一律支払方式」

 危険度:高

 

出ました、「高」。

この方式は、私が思うに「火がついた導火線」です。

 

会社にとっては最も導入しやすく、従業員にとっては最も不平等という、争いの種をはらんでいる「危険な」定額残業代方式といえるでしょう。

 

どういう支払い方法か、説明します。

 

定額残業代

= 60,000円

 

これだけです。

時間単価も割増額も、計算しません。

誰に対しても一様に、固定額を支給します。

この方式だと、何が起こるか。

 

「年長者ほど低賃金」

という現象を生じさせます。

 

年功序列賃金制の場合、年齢が高い人ほど残業時間が少ないことになり、若年者と比べて低い賃金水準に位置することになるからです。

 

結果として、賃金額的に「会社から安く見積もられている」ということになり、年齢を重ねて高まっているはずの経験の価値が、低く計算されているといえます。

年齢が高まるほどに、昇給が鈍くなる計算方式なのです。

 

これでは、対象となる人たちは不満を抱きやすくなるでしょう。

 

高年齢になるほど体力は衰え、労働時間が短くなる

それに伴い、残業時間も減る

残業時間が減ることは、仕事への貢献度も減るということ

仕事の貢献度の減少に合わせて固定額も逓減する

だからこの方式は適切なのだ

 

このような説明をされて、心から納得する人はどのくらいいるでしょうか。

 

長い年月にわたって会社に貢献し、知識・経験ともに会社の中核となって支えている年長の従業員は、年齢を重ねるにしたがって賃金の時間単価が低くなっていくのです。

 

体力の衰えによって、働く時間が短くなるのは事実かもしれません。

加齢という事実も、客観的で確かな現象でしょう。

 

けれど、基本給と違って、本来は計算によって導き出される割増賃金が、実際の労働時間や人事考課が考慮されずに設定されてしまうのは、短絡的と言わざるを得ません。

 

現代において、高年齢者は「重要な労働力」と位置付けられています。

そのような貴重な戦力である人たちが不満や疑問を持つような制度は、やがて会社の稼働力の低下を招きます。

 

会社にとっては運用しやすいこの方式が、中長期で会社の成長を鈍らせる可能性をはらんでいる。

そんな危険性から、私はこの方式を「危険」と評価しました。

 

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