【2026-22】もうすぐ施行! 改正同一労働同一賃金に備えよ
新しく見直された「改正同一労働同一賃金指針」が、2026年10月1日から施行されます。
パート従業員の方々と日々向き合っている経営者・人事担当者のみなさんにとって、新たな備えが必要になる時期でしょう。
- 「うちの会社はどこまで対応すべきなのか」
- 「パートさんの意見をどこまで尊重すればいいのか」
そんな戸惑いが生まれるのは自然なこと。
今回の同一労働同一賃金の指針改正は、決して“企業を縛るため”のものではありません。
むしろ、自社としての判断基準を持ち、迷わず説明できる状態を整えるための後押しと捉えると、肩の力が抜けます。
難しく考えがちなこの同一労働同一賃金を、「現実と調和させること」を目標に考えます。
その視点から、今回の改正を「会社が迷わず判断できるようになるためのポイント」に絞ってお伝えしましょう。
1.なぜ難しく感じるのか
①改正指針の“本質”が分かりにくい
厚生労働省の資料は丁寧ですが、企業の担当者からすると次のような疑問が残りがちです。
- パート従業員にも賞与・退職金・家族手当を同じように支給すべきなのか
- 夏季冬季休暇や病気休職の扱いで、何か変わるのか
- 「説明を求めることができる旨」を通知書に書くと、問い合わせが増えてしまうのでは
- 正社員との待遇差は、どこまでなら合理的と言えるのか
- 古い就業規則も、急いで全面改定すべきなのか
こういった迷いが生じるのは、どれも“明確な判断基準がない”ことが原因でしょう。
明確な基準がないのは、柔軟な運用には寄与しますが、同時に難しい判断を迫られることにもなるのです。
②法令は「目的」で判断するが、現場は「慣習」で動く
ガイドラインでは、待遇差の合理性を目的・性質・職務内容・配置変更範囲 などで判断します。
しかし現場では、
- 「昔からこうしている」
- 「正社員は責任が重いから」
- 「ウチの会社にはこの方法が合っている」
といった“慣習”が根拠になりがちです。
この意識差が法令どおりの運用につながらず、経営者や人事担当者の迷いを生んでしまうのではないでしょうか。
2.「共通点」を整理する
まずは、難しく考えないこと。
同一労働同一賃金で守るべきことは多岐にわたりますが、すべてを緻密に守ることはそもそも無理筋です。
複雑な制度には、簡素な対応。
すべての事項の「共通点」を整理することで、今回の改正への対応力が向上します。
その「共通点」を、見てみましょう。
① 待遇ごとの「目的」を明確にする
ガイドラインでは繰り返し強調されています。
「待遇の目的が妥当するにもかかわらず、均衡の取れた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があります」
(賞与・退職手当の項目より)
賞与・退職金・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇など。
それぞれの待遇が何のために存在するのかを一度見つめ直すことで、判断が一気に明確になります。
② パート従業員の「働き方の実態」を整理する
ガイドラインでは、次のような表現も多く見られます。
「労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる場合」
(家族手当・病気休職の項目より)
「パートだから一律に除外」ではなく、実態として継続勤務が見込まれるかどうかが判断の軸になります。
「正社員にどれだけ近いか」という視点で考えると、わかりやすいでしょう。
③ 説明できる状態を整える(資料化する)
今回の改正で最も重要なこと。
「待遇差の内容・理由について説明を求めることができる旨を明示する」
(労働条件通知書の明示事項より)
説明を求められたときに慌てないためには、待遇ごとの整理表(目的・支給要件・正社員との違い・合理性の根拠)を作っておくことが最も効果的です。
これは、就業規則を全面改定するよりもずっと負担が軽く、実務的。
説明のための整理表があれば正確な説明ができるし、「毎回言っていることが違う!」という説明のブレも避けられるでしょう。
「説明できる」ということは、会社として制度が整っているということ。
この状態を目指すことが、会社にとっての一つの到達点と言えます。
3.まとめ
同一労働同一賃金の指針改正は、「パート従業員の待遇をすべて正社員と同じにする」という話ではありません。
自社としての判断基準を持ち、説明できる状態を整えること。
これだけで、法令対応はほぼ完了します。
そしてその判断基準は、会社の価値観や働き方に合わせて設計できます。
法令と現場の間で迷ったときは、どうか一度専門家に相談すること。
外部の視点が入ることで、過度な忖度や慣例の重視を排して、冷静に判断できるでしょう。
私は、制度と現実を調和させるための伴走者として、最適な形を一緒に作っていきます。
