【2026-26】”賞与”と”退職金”正しく考える!同一労働同一賃金
同一労働同一賃金の改正指針が施行を迎えるにあたり、
- 「賞与や退職金をの規定をどう扱えばよいのか」
- 「 パート従業員への支給をどのように考えればよいのか」
- 「当社の就業規則はこれで問題ないのか」
と、経営者や人事担当者の方から相談を受ける機会が増えています。
「我が社の就業規則は、新しいガイドラインに違反しているのではないか」という不安もついてまわるでしょう。
けれど、現場でお話を伺っていると“難しく考えすぎているために迷いが深くなる”という共通点があるように感じます。
迷った末に動けないでいるのが現状ではないでしょうか。
今回の記事では、賞与・退職金の取り扱いを「単純な視点で整理することで、迷いは解消できる」ということをお伝えしたいと思います。
1.”正解がない”から難しい
賞与や退職金は、企業ごとに制度の成り立ちが異なるため、 同一労働同一賃金の指針を読んでも、「自社にどう当てはめればいいのかわからない」という声が多くあります。
特に、最近の実務で感じるのは次の点です。
- 「パートには賞与を支給しない」とだけ書かれた就業規則が多い
- 賞与・退職金の“性質”を理解せずに、支給の有無だけで判断している
- 改正指針の内容を誤解し、必要以上に複雑に考えてしまっている
このような状況では就業規則の改定も進まず、後年の労働紛争の火種を残してしまう可能性があります。
同一労働同一賃金の考え方には、ひとつの決まった正解がありません。
そのあいまいな概念が、企業な対応を難しくしているのでしょう。
2.”単純な視点”で見極める
ここで大切なのは、「賞与・退職金の目的(性質)に着目する」という、単純な視点をもつことです。
①よくある“誤った考え方”
- パートだから賞与なし
- 退職金は正社員だけのもの
- 支給の有無だけで同一労働同一賃金を判断する
これらは、賞与・退職金の“性質”を無視した判断。
改正指針の趣旨とも異なります。
支給の有無を基準に考えると誤った判断に行き着いてしまいます。
②正しく考えるためのコツ
賞与・退職金は、企業によって目的が異なります。
そのため、次の三つの視点で整理すると迷いが消えます。
- 何のために支給している制度なのか(性質)
- その性質は、パート従業員にも当てはまるのか
- 当てはまるなら、どの程度反映するのが妥当か
「支給するべきか、しなくてよいか」と考えるのではなく、この三点で考えはじめましょう。
しだいに判断の分かれ目が見えてくるはずです。
③不適切な就業規則の例
- 「パートタイム従業員には賞与を支給しない。」
- 「退職金は正社員に限り支給する。」
↓
性質の説明がなく、“支給しない理由”が客観的に示されていないため、労働紛争時に企業側の説明が弱くなる。
同一労働同一賃金は、”説明できる制度を作ること”が目的のひとつです。
説明を省いた制度は就業規則としては十分ではありません。
④適切な就業規則の表現例
- 「賞与は、会社の業績および従業員の職務遂行への貢献度を評価して支給する。」
- 「退職金は、長期的な職務継続への貢献を評価する制度とする。」
- 「パートタイム従業員については、上記の性質に照らし、職務内容・責任の程度・職務継続性を踏まえて支給の有無および水準を決定する。」
↓
性質を明示することで、“なぜその扱いにしているのか”が説明できる就業規則になる。
最終的に「支給しない」という制度であっても、”支給しない理由を明記すること”が重要です。
⑤後年の労働紛争を避けるための対策
- ”何のための制度なのか”という性質を明文化する
- ”何をもって決めるのか”という判断基準を就業規則に残す
- パート従業員の職務内容を、企業側が正確に理解する
- 支給の有無を、理由とあわせて説明できる状態をつくる
これらはすべて、単純な視点で整理することで実務が安定する対策です。
ひとたび労働紛争が始まれば、会社も労働者側も大きな負担は避けられません。
基本的な対策で、将来の負担を回避しましょう。
3.まとめ
賞与や退職金の同一労働同一賃金は、複雑に見えて、実は「制度の性質に着目すると判断できる」という、とても単純なテーマです。
改正指針の施行が迫る中で焦りがあるかもしれませんが、迷いや悩みは難しく考えなくても解消できます。
もし、
- 「自社の制度をどう整理すればよいかわからない」
- 「就業規則のどこを直せばよいか判断できない」
という状況があれば、遠慮なくご相談ください。
現場の実務に寄り添いながら、企業にとって最もシンプルで、後年の紛争を避けられる形を一緒に整えていくことが、社労士としての私の役割だと考えています。
